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AIを活用した故障予測とは?AI導入の流れや活用事例を紹介

IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)は近年大きな進化を遂げており、工場における機械や製品の異常検知、故障予測などにも活用されるようになりました。製造工程が複雑化するなか、人間の目視による確認には限界があるため、AIのさらなる活躍が期待されている分野です。 しかし、IoTやAIを活用して故障予知をするためには、そのメカニズムを理解したうえで適切に活用する必要があります。本記事では、AIを用いた故障予測の具体的な方法や、実際に故障予知を導入した8つの事例を紹介します。 AIを活用した故障予知により、安定生産・稼働率向上を実現したいという方はぜひ参考にしてみてください。

  • AIを用いた故障予測:十分なデータがない時の故障予測・予知の方法

    製造業における故障予測では、十分なデータ(いわゆる教師データ)がない状態が珍しくありません。とくに日系企業の工場では異常や故障の頻度が少ないため、故障に至るケースのデータが少ないのです。参考データが少ないなかで、正常な数値を残したまま異常値だけを排除するのは簡単ではありません。

    しかし、十分な教師データがない場合でも有効な手段は存在します。具体的には、おもに以下3つのアプローチを採用するケースが多いでしょう。

    PCA

    PCAはPrincipal Component Analysisの略で、日本語では「主成分分析」と訳される解析手法です。多くの変数から成るデータに対し、情報をできるだけ維持したまま変数を減らすことでデータ全体を可視化するというアプローチになります。

    PCAを異常検知に利用する場合は、正常なデータの領域を定めたうえで、そこに当てはまらないデータを異常値として検出します。「情報はできるだけ維持」するものの、もとの情報量からは減ってしまっているという点には注意が必要です。

    RPCA

    RPCAはRobust Principal Component Analysisの略で、上記のPCAの統計的基準に修正を加えたものです。同じく主成分分析の手法の一つですが、通常のPCAよりも異常値の影響を受けにくく、ほかのデータと大きく乖離がある場合にも対応できる点が特徴となっています。画像処理や異常検知に広く利用されるデータ解析手法です。

    SVDD

    SVDDはSupport Vector Data Descriptionの略で、サポートベクトルデータ記述法とも呼ばれます。1クラス分類を目的として、正常な数値のほとんどを含むようにデータを切り分け、その領域から外れたものを異常値とする方法です。

    異常値のデータが少ない場合でも成り立つ、有効な教師なし学習法とされています。2つのデータの類似度を表す「カーネル関数」によって正常な領域をモデル化し、それをもとに異常検知を行ないます。

  • 故障予知・故障予測の事例8選

    AIによる故障予知のおもな手法を紹介しましたが、実際の事例をもとに理解を深めるほうが効率がよいでしょう。ここでは、機械や設備におけるAIの故障予知事例を8つ紹介します。

    1.太陽光発電設備の異常検知

    太陽光発電所を営む企業において、発電した電気を変換するための設備であるパワーコンディショナーの故障予知をAIによって実現した事例です。パワーコンディショナーの主な部品にセンサーを設置し、振動や温度などから異常を検知する仕組みとしました。既存のデータとの間に異常が認められた場合、すぐに通知が届くため故障リスクの早期発見に役立っています。

    2.異常検知と原因分析

    現在実用化に向けて検討を進められているのが、センサーから取得したデータをもとに異常の原因までをも提示するというAIシステムです。インフラ機器などに温度センサーを設置し、変化を読み取った場合に異常値の検出だけでなく原因分析まで行う仕組みとなっています。まもなく実用化が計画されており、今後の進展に期待が高まっています。

    3.ドローンとセンサーの組み合わせ

    ドローンとセンサーを組み合わせることで、より高い精度で故障予知を行なう仕組みも取り入れられています。セメント製造において、ドローンによって設備の表面における異常を確認する一方、センサーによって蓄積した振動や温度のデータを時系列で解析するという手法です。

    セメント製造は超高温で行なわれるため、設備の負担が大きく早期の故障予知が求められます。ドローンによる外観チェックで表面の摩耗やヒビの発見と、振動系・温度計センサーによる異常検知を組み合わせることで、従来よりも高精度の故障予知が可能となりました。

    4.トラブル対応のAI化

    故障の予知だけではなく、故障発生後の対応をAI化する動きも出てきています。有機顔料の製造メーカーでは、ベテラン作業員の対応をAIシステムに学習させ、同等レベルの処理が可能となりました。

    トラブルに関連する単語や文章を入力すれば、過去に起きた同様のトラブルから対応手段が提示され、適切な処置ができるという仕組みです。長年の経験から培った「勘」をデータ化することで、若年層への技術継承という大きな役割も果たしています。

    5.冷凍機の故障予知

    ある産業用冷凍機製造メーカーでは、冷凍機の故障による保管製品の品質劣化が大きな課題となっていました。顧客に安心して利用してもらえるよう、消耗品を早めに交換するなどの対応をしていましたが、保守コストは小さくありませんでした。

    故障予知のシステムを導入したことで、消耗品すべてではなく故障リスクの高いものだけに絞って交換できるようになり、コスト的にも作業的にも大きな削減効果をもたらしました。また、事前に故障を予知する仕組みを整えたことで、顧客の都合に合わせた計画的な保守作業も行なえるようになっています。

    6.老朽化による突発故障の予知

    大手半導体メーカーでは、既存設備を最大限活用することで大規模な投資をすることなく多品種少量生産を行なっていました。しかしその結果として、老朽化による突発的な故障のリスクが上昇し、大きな課題となっていました。

    そこで導入したのが、振動データを活用した故障予知のシステムです。リアルタイムで監視しながら設備の調整を行なうことで、突発的な故障の発生を抑え、メンテナンスコストも15%削減されました。

    故障予知システムの導入は新たな投資として費用がかかりますが、コスト削減につなげることで利益面にも貢献できるという好事例です。

    7.機械学習による潜在リスクの特定

    海外の大手製紙メーカーでは、設備の故障に伴うダウンタイムの発生や原材料の廃棄により月間数億円規模のコストが発生していました。そして工場の稼働効率を改善するため導入されたのが、故障予知のアプリケーションです。

    アプリケーションでは、統計と機械学習の組み合わせにより工場設備の潜在的な故障リスクを高い精度で特定します。故障が発生する前に対応できるようになったことで、ダウンタイムがなくなり稼働率が向上したほか、廃棄する原材料の減少などから大きなコスト削減につながりました。

    8.業務用大型冷凍機の故障予知

    業務用大型冷凍機の製造メーカーでも、故障予知の導入により保管品のロス削減や保守コストの低減に成功しました。冷凍機に設置したセンサーからのデータを蓄積し、不要なデータを除いたうえでAIに機械学習させ、正常値からの乖離度をもって故障予知を行なっています。

    故障を予知できるようになったことで、突発的な故障による保管品の品質劣化や緊急の修理などが防止され、メーカー・顧客双方の事業に好影響をもたらしました。

  • プログラミング不要でAI予測モデルが構築できる「MatrixFlow」

    MatrixFlowはプログラミング不要のAI構築プラットフォームです。MatrixFlowのアルゴリズム開発は、処理単位のブロックをドラッグ&ドロップし、つなぐだけで構築できます。

    またデータや作成したアルゴリズムの管理など、AI構築に関わるすべての工程を一元的に管理することが可能です。MatrixFlowの開発スキームは業種・業界をまたいで使用できるうえ、開発を続けることで開発ノウハウがブロック、およびその組み合わせのテンプレートとしてプラットフォーム上に蓄積されていきます。そのため、今後のAI開発においてはさらなる開発の早期化、開発費用の低減が期待できます。

    データをAIに学習させ、リアルタイムで実際のデータ分類を行ない、異常を判定することで、スピーディで精度の高い異常検知が可能です。またAIを活用することで、さまざまな要因が絡む複雑な状況からパターンを分類・抽出し、人間では判断が難しい傾向を見出せるため、異常の原因を特定し、再度問題を起こさないよう具体的な対策をとることが可能となります。

    AI、機械学習を活用した異常検知には、多くの手法があります。例えば、一般的には大きく次の3つの方法が挙げられます。

    ・k近傍法(k-Nearest Neighbor)
    ・ホテリング理論
    ・LOF法(局所外れ値因子法)

    k近傍法は、異常・正常含むデータを空間上に表示し、あるデータから距離が近い順に任意のk個のデータによってクラスを判定する方法です。正常・異常の距離が近い順に分類を行なっていきます。

    ホテリング理論は、異常検知において最も一般的に行われている手法です。正常・異常含むデータを取得し、平均や分散などの基本的な統計情報から導き出された外れ値を異常状態とします。

    LOF法(局所外れ値因子法)も、取得されたデータから外れ値を見つけ出す、いわば外れ値検知アルゴリズムです。空間におけるデータの密度、特にある点から最も距離が近い k 個の点といかに密かであるかを示す局所密度に注目して外れ値の検出を行ないます。LOF法は、特定の基準を設定しづらい複雑な要素で構成されるデータにおける外れ値検知にも強いという利点があります。

    AI、機械学習を活用した異常検知の手法としては、上記以外にも多くの手法があります。しかし、データの状態や特性に応じて、最適な手法を導き出して実行する必要があり、高度なテクニックが求められるでしょう。

    MatrixFlowによる異常検知AIの作成なら、センサーデータを使った異常検知をはじめ、従来人の手で行なっていた機器の検査などの自動化も、ボタンをクリックしていくだけでスピーディに実現可能です。

    以下のチュートリアルでは、「故障すると予測される機械を分類するAIの作成方法」を紹介しています。ぜひ一度操作いただき、MatrixFlowで精度の高い異常検知AIがスピーディに作成できることをお確かめください。

    MatrixFlowは精度の高い異常検知AIの作成だけではなく、需要予測や在庫最適化、生産計画立案、人員配置など、製造業でのさまざまな課題を解決できます。MatrixFlowには、実際に操作する際に役立つマニュアルや、AIの作り方や結果の見方、精度の高め方などについてAIコンサルタントに相談できるサポート体制もありますので安心です。

    MatrixFlowに関するご質問や、ご自身の持つ課題を解決できるのか?といったご質問・ご相談がありましたら、お問い合わせ欄からお気軽にお問い合わせください。

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