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消費財・日用品業界におけるAIの活用とは?需要予測や開発などを徹底解説

日用品・消費財業界では、AIはどのように活用されているのでしょうか。 日用品・消費財業界は、美容や健康だけではなくエコや利便性などの消費者の要望に対応するため、日々変化し続けています。変化を継続することで消費者を引きつけ、売上を維持し他社に負けないようにしているのです。 AIの活用はこのような日用品・消費財企業の変化には欠かせません。AIを活用して消費者行動や購買習慣を分析することで、研究開発や商品企画、広告宣伝、D2Cを実施しています。また、需要予測においても従来の方法からAIの活用へと移り、最高水準の予測値で消費者の要望に対応しようと努めているのです。 当記事では日用品・消費財業界のAIの活用事例をふまえながらまとめました。ぜひ最後までご覧ください。

  • 消費財・日用品とは

    日用品とは人々が生活するうえで必要な消費財であり、食料品や衣料品などは含みません。日用品は以下の2種類に大きく分類されます。

    一年中平均的に消費される
    自然(季節・気温の変化)や行事などの影響を受ける

    一年中平均的に消費される日用品は日々の生活で定期的に必要とされるもので、以下のようなものがあります。

    住宅用洗剤・用品
    洗濯用洗剤・用品
    トイレ用洗剤・用品
    浴室用洗剤・用品
    キッチン用洗剤・用品
    オーラルケア用品
    シェービング用品
    化粧品

    一方、自然や行事などの影響を受ける日用品としては以下のようなものがあります。

    除湿剤
    防虫剤
    殺虫剤・殺虫関連用品
    入浴剤
    使い捨てカイロ

    そのほかでは、お盆やお彼岸、年末年始などに使われる線香・ろうそく、お年玉やおこづかいを渡すときに必要なぽち袋もこのカテゴリーに分類されます。これらは時季によって消費量が大きく異なることが注目されるべきポイントです。

  • 消費財・日用品業界でAIが活用できる業務とは


    消費財・日用品業界では、AIはどのような業務で活用されているのでしょうか。業務ごとにみていきましょう。

    物流業務

    物流業務では需要予測でAIが活用されています。在庫管理の適切化に役立つ以外でも、倉庫内における物品の配置や倉庫業務にも役立つからです。日用品は大きさや香、色などの種類が豊富にあります。そのため、在庫を多く置いてしまうと倉庫内のスペースに余裕がなくなり、廃棄や値引きで販売することになってしまうのです。

    ここで化粧品とドラッグストアの事例を紹介しましょう。化粧品はこれまでショッピングモールや百貨店に店舗を置き対面で販売をしています。しかし、AIを活用した店舗ではバーチャルメイクといったユニークな取り組みが行われているのです。また、ドラッグストアでは商品がとても多く棚への陳列に時間がかかり、価格設定も含めるとさらに時間がかかるのです。そのような場面でAIを活用することにより、価格設定や最適な棚割り、在庫管理だけではなく発注の自動化も行えるため、効率的な業務が実現しています。
    サプライチェーンマネジメント(SCM、Supply Chain Management:供給連鎖管理)
    SCMにおいてもAIが活用されています。SCMは「社内や社外も含めた調達から生産・販売にいたるまでを一つのビジネスプロセスとして捉えて最適化する経営管理手法」です。日本語では供給連鎖管理と訳されています。SCMを導入によって調達や販売などを個々の業務プロセスのシステムを連携させ、無駄を徹底的に削減することで他社との競争に負けない企業体質になれます。このSCMにおいてもAIの活用が期待されています。

    商品企画・販売業務

    日用品の商品企画・販売業務においてもAIの活用が期待されています。日用品は販売促進キャンペーンにおいて効果分析を行います。また、アンケートやSNSによる分析を利用したセット商品販売企画や、消費者の購買サイクルの分析による詰め替え用商品のサイズ変更も重要です。サブスクリプションによる販売も予想されるため、チャーン分析(離反顧客分析)や消費者へのリコメンドなどでAIが活用されるといえます。

    製造業務

    当然ながら日用品の製造業務においてもAIが活用されるでしょう。需要予測にもとづいた生産計画の最適化や品質評価などでAIを活用し製造業務を行っていきます。製造する日用品によっては高温の状況やガスの発生もあるため、設備の異常を即座に検知できるような安全の確保が必要です。そのような安全面でもAIの活用が期待できます。

  • 消費財・日用品業界でAIはどのように活用されているか


    ここで消費財・日用品業界におけるAIの活用事例をみていきましょう。

    AI活用事例①:需要予測

    前述のSCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)でもAIが活用されています。

    SCMの問題点

    SCMはそれ自体で何かを生産し販売しているわけではありません。販売計画や在庫を分析して未来を予測して、生産量を割り出し調整しているだけです。しかし、プロセス全体で対応するため、特定部署のKPI(重要業績評価指標)の悪化もあります。その特定部署にSCMを受け入れてもらうためにも現状をしっかり理解してもらい、協力してもらえるような材料が必要です。
    AIを活用したPSI Visualizer
    SCMのような実体のないものを可視化させるためにPSI Visualizerが開発されました。PSI Visualizerは以下の3つを同時に可視化させられるナビゲーションシステムです。

    生産(Production)
    販売(Sales)
    在庫(Inventory)

    さらに、AIの活用により問題となっている在庫の発見や適正在庫の検証、販売予測などを自動的に算出し、在庫の適正化と欠品抑制に対応できます。

    AI活用事例 ② 歯ブラシの商品開発

    次に歯ブラシの商品開発におけるAIの活用をみていきましょう。

    歯ブラシの商品開発とは

    歯ブラシは以下の流れで商品が開発されます。

    歯ブラシのコンセプトの決定→歯ブラシの仕様検討→使用の絞り込み→試作品の開発→試作品テスト→最終仕様決定

    また、歯ブラシは主に以下の3つのパーツから構成されています。

    ヘッド部(ブラシの部分)
    ネック部(ブラシとハンドルをつなぐ部分)
    把持部(ハンドルの部分)

    特にヘッド部は以下のように様々な点について検討します。

    大きさ
    一つの毛束
    毛の種類

    コンセプトからスタートして仕様を検討し試作品を開発します。ただ、試作品の開発は手作業です。そして、試作品をテストしてから最終的な歯ブラシの仕様を決定するため、最終仕様決定までかなりの時間を必要とします。

    また、歯ブラシの毛の硬さはJIS規格において試験方法や硬さの値が決められています。このJIS規格通りの硬さになるように、歯ブラシの仕様ごとに試作品で評価しなければなりません。このような工程をたどると、試作品の開発から毛の硬さの評価が終わるまでに数日間かかってしまうのです。
    AIを活用した歯ブラシの商品開発

    大手日用品・消費財企業は歯ブラシの商品開発に機械学習を活用し、これまでの開発データから毛の硬さの予測モデルを開発しました。この予測モデルに開発予定の歯ブラシの使用データを入力すると、予定どおりの毛の硬さになるかどうかがわかります。そのため、時間がかかる試作品を作らなくてもよいのです。

    つまり、予測モデル開発前は試作品を作らないと予定通りの毛の硬さになるかわかりませんでしたが、開発後は予測モデルのシミュレーションによって約1時間ですむようになりました。このため、試作品作りにかかっていた数日がかからなくなり、よりデザインや使用感などの確認に時間を使えるようになったのです。

    AI活用事例 ③ 歯磨き粉の香料開発

    歯磨き粉の香の開発においてもAIが活用されています。

    香料とフレーバリスト

    歯磨き粉には毎日の歯磨きを楽しめるように、約500種類の香料の原料を調合して様々な香がつけられています。この歯磨きの香にかかわっているのが、香の専門家であるフレーバリストです。

    大手日用品・消費財企業では、オーラルケア部門に専門で活躍するフレーバリストがいます。ベテランのフレーバリストの経験と知識は会社にとっての貴重な財産です。しかし、フレーバリストとして一人前とみなされるためには10年の月日が必要とされ、ベテランと経験の浅いフレーバリストの差は歴然です。

    熟練フレーバリストの思考とは

    熟練フレーバリストはその経験・知識から、経験の浅い者よりも短期間で歯磨き粉に使用する香の開発ができます。大手日用品・消費財企業はベテランフレーバリストの思考方法に着目し、フレーバリストAIを開発しました。このフレーバリストAIに目的の香を入力すると、香料の原料の配分が出力される仕組みになっています。このAIの開発によって数ヵ月の香料開発が短期間になる見込みです。
    AIによってフレーバリストの仕事がなくなるのか
    AIによって仕事がなくなるという懸念が広がっていますが、フレーバリストも同じようになくなってしまうのでしょうか。実際にAIが出力するデータは香料の骨子部分であるため、その後の消費者が好む香にする作業は残っています。それこそがフレーバリストの本来の仕事なのです。つまり、AIは調合の手伝いをしているのに過ぎないのですが、この手伝いが開発時間短縮に必要といえます。

    また、ベテランフレーバリストの知識と経験が、フレーバリストの退職によって失われることは会社にとって大きすぎる損失です。そこでベテランフレーバリストの知識と経験をAIを活用して再利用することが、もう一つの目的といえます。

  • まとめ


    日用品・消費財業界でAIは積極的に活用されています。活用範囲は物流やSCM、商品企画・販売業務、製造などの様々な業務にわたっています。需要の予測や商品企画などで頭脳となり、商品開発では香をかぎ分ける「鼻」の代わりにもなるのです。AIは人間が活躍する分野を取り上げる機械ではありません。人間の活躍をサポートする同僚であり友人といえる存在なのです。

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