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金融機関はAIをどのように扱えるのか?実例とともに紹介

業務効率化やセキュリティ強化の面で活躍している、金融機関のAI。本記事ではこの金融機関におけるAIの導入メリットを2つ紹介します。また記事後半ではさまざまな銀行の多種多様なAI導入事例も解説します。それぞれの銀行が全く異なったAIを導入しているため、非常に興味深いです。

  • 金融機関にAIを導入するメリット

    金融機関にAIが導入されると、どのような効果が期待できるのでしょうか。
    そこで本章では、金融機関にAIを導入するメリットを2つ紹介します。

    業務が効率化される

    AIが導入されると業務が効率化されます。例えば今までは顧客が企業に問い合わせる際、コールセンターに電話をかけるしか手段がありませんでした。しかしチャットボットと呼ばれる自動で会話をしてくれるAIが導入されたことにより、簡単な問い合わせはAIが担当してくれるようになりました。これにより企業はコールセンターの人員を減らせるようになったため、人件費が削減できるのです。

    実際のチャットボットの導入事例に関しては次章の「金融機関でのAIの導入領域・事例7選」でも少し触れているため、気になった方は是非ご覧ください。このようにAIが導入されることで、業務が効率化され人員を割く必要がなくなれば、人件費も削減できるのです。

    セキュリティが強化される

    銀行はお金を扱うため、特にセキュリティ対策には重きをおかなければいけません。不正取引や標的型攻撃は最近では大きな問題になっています。ただこのセキュリティ面でもAIは活躍し始めているのです。

    実際に不正取引検知システムと呼ばれるAIを開発し、導入している企業もあります。ちなみに、これまで人間が気づかなかった不正も検知できるほど性能は高いようです。

  • 金融機関でのAIの導入領域・事例7選

    業務の効率化や、セキュリティ強化の面において一役を買っているAIですが、具体的にはどういった領域において活躍しているのでしょうか。本章では金融機関での、AIの導入領域・事例を7つ紹介します。

    AIを活用した個人向け株式提案サービス

    3大メガバンクの1つは、AIを活用した個人向け株式提案サービスの提供を2019年から開始しました。デジタル化によって、ユーザー自身が情報を収集して、株式投資を行う機会が増えてきた昨今。ただ株式投資はハイレベルな情報分析を求められることもあるため、資産運用を始めたばかりの方にとっては、様々な障害が存在するのが事実です。

    そこで本銀行は、個人向け株式提案サービスの提供に踏み切りました。
    本サービスの特徴は以下の通りです。

    ・AIによる銘柄スコア予測:ディープラーニングで学習させた株価予測AIによって、期待収益性がスコア化される
    ・AIによる個別株式ポートフォリオ提案:ユーザーの保有株式やリスク許容度、資金に合わせてポートフォリオを提示してくれる

    とくに2つ目の機能の「AIによる個別株式ポートフォリオ提案」を、個人のユーザー向けに提供するのは日本初の試みのようです。

    参照:【三井住友フィナンシャルグループ】日本初、AI(人工知能)を活用した個人向け株式提案サービスの提供開始(1/5)

    顔認証技術などの新技術を搭載した新型ATM

    大手流通企業グループ傘下の銀行は、AI新技術を搭載して社会とユーザーニーズに対応した、新型のATMを2019年から導入し始めました。本ATMの特徴は以下の通りです。

    ・顔認証による本人確認やバーコード読み取りが可能
    ・各種部品の故障予測により、運営が効率化
    ・AIを活用した現金需要予測の精度アップにより、ATMの休止を低減
    ・ 警備会社のスマートフォンを電子鍵として利用できるようになったため、ATMの鍵の管理が楽に
    ・金融犯罪行為を自動で察知することで、トラブルがあった際は24時間監視を行うコールセンターに通知

    我々が常日頃当たり前のように利用しているATMも、AIによって日々進化しています。

    参照: 社会とお客さまのニーズの変化に対応した 第4世代ATM(セブン銀行中間ディスクロージャー誌2019)

    ネット住宅ローンの事前診断システム

    3大メガバンクの1つは、ネット住宅ローンの事前診断をAIで実施できるシステムを導入し始めました。このAI事前診断システムが導入されたことによるメリットは、以下の3つです。

    ・従来の事前審査では数時間かかっていた借入の判断が、最大1分で診断できるようになった
    ・従来の人による審査と精度はほとんど変わらない
    ・見直すべき項目を抽出してくれるため、借入の可能性が低くても適切に計画を再検討できる

    精度は変わらないにもかかわらず、診断結果がスピーディーになりました。

    参照:AI事前診断(ネット住宅ローン事前診断) | みずほ銀行

    資産運用ロボット

    東京都中央区に本店を置く、SBIホールディングス傘下の普通銀行は資産運用ロボットの運用を始めています。ユーザーが金融資産額や年齢などの基本的な質問に答えるだけで、世界の約6,000の上場投資信託の中から最適と思われる組み合わせを提案してくれるのです。

    これまでの資産運用では、リスクと期待リターンからポートフォリオを決定するのが一般的でした。しかしこのロボットアドバイザーは、3つの機能ポートフォリオを用意して、ユーザーの資産運用に対する目的に沿って、これらをうまく組み合わせて、最適なポートフォリオを作ってくれます。

    またロボットアドバイザーは取引によって得られた追加入金や配当金、利益などの全ての状況を毎日モニタリングしています。そのためポートフォリオに次に組み込むべき銘柄が買えるタイミングで、自動的に購入してくれるのです。このシステムにより、常に複利効果での長期運用を実現してくれます。

    月々1万円の積立からまとまった資金での一括運用まで取り扱っているため、幅広い方がご利用いただけます。

    参照:ロボアドバイザー | 新生銀行

    コールセンター業務の効率化

    千代田区大手町に本社を置く普通銀行は、2020年秋に全国のコールセンター約350席にAI を導入しました。従来はマニュアルに基づいて顧客に対応していましたが、オペレーターの処理時間と、対応品質が課題になっていました。そこで本システムがオペレーターの業務品質向上と処理時間の短縮のために、導入されたのです。

    またこれと同時に、マネージャーの管理業務効率向上も期待して導入に踏み切りました。それぞれの課題に対する対策は以下の通りです。

    ・オペレーターの業務品質向上: 通話内容をリアルタイムで文字化して画面に表示することで、聞き漏らしを防止
    ・オペレーターの処理時間の短縮: 問い合わせに関するFAQを自動検索することで、経験の浅いオペレーターの業務をお手伝い
    ・マネージャーの管理業務効率向上:通話内容のテキスト化機能によって、複数のオペレーターを監視できるようになった  

    ちなみに2018年10〜12月に実施した実証実験では、FAQ検索と音声認識により、まだ業務に慣れていないオペレーターの対応品質の高まりと、処理時間の3割軽減が実現したようです。

    参照:ゆうちょ銀行、コールセンター業務の効率を高めるためにAI導入へ(デジタルクロス)

    AI不正・リスク検知サービス

    2020年7月、コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の地方銀行は、不正・リスク検知サービスを導入することを明らかにしました。

    デジタル技術を用いた金融サービスが数多く創出されているなか、金融犯罪はより複雑そして巧妙になってきています。そこで本銀行は膨大な情報の中から不正や金融犯罪を、詳細かつ効率的に審査・検知するために本サービスを導入することを決めました。

    もともと本銀行では属性・取引・口座の各種条件にもとづいた検知ルールを利用して、調査が必要な口座を洗い出していました。ただこのサービスは一次調査をAIが行ってスコア化してくれるため、詳細調査対象になる口座数を減少させることができるようになったのです。

    ちなみに2019年5月から2020年1月までに行われた実証実験では、詳細調査の対象となる口座数を従来比で30〜40%減らすことができたようです。

    またこの他にも、本サービスでは人間が検知することが難しい口座の動きもAIが認識してくれるため、リスクの高い口座を予兆的に認識した事例もありました。この性能は特殊詐欺やマネーロンダリングなどの、金融犯罪の未然防止にも役立つといわれています。

    参照:NEC、横浜銀行に「AI不正・リスク検知サービス」を提供

    対話型自動応答サービス「AIチャットボット」

    京都府内を中心に営業している地方銀行は、AIが自動でユーザーからの質問に対応してくれるAIチャットボットを2021年4月から一部で導入し始めました。

    これによりユーザーは営業時間にかかわらず、パソコンやスマートフォンで不明点を質問できるようになりました。またAIチャットボットは24時間365日すぐに質問に回答してくれるため、質問時間の制限がなくなっただけでなく、問い合わせの利便性も向上しました。

    紛失時の手続きや年金など、銀行への疑問点は何かと多いため、時間を気にせずに相談できるようになった点は利用者にとっても嬉しいですね。

    参照:対話型自動応答サービス「AIチャットボット」の導入決定!

  • プログラミング不要でAIが構築できる「MatrixFlow」

    MatrixFlowはプログラミングの知識がない方でもAIを構築できるプラットフォームです。
    本ツールを利用すれば作成したアルゴリズムやデータの管理など、管理AI構築に関わるすべての工程を一元的に管理できるようになります。
    またアルゴリズムの開発は、処理単位のブロックをドラッグアンドドロップして、繋げることで簡単に実現します。

    なお、この開発スキームは、業界や職種によらないものである上に、開発を続けることで開発ノウハウがブロックされるだけでなく、その組み合わせのテンプレートとしてプラットフォーム上に次々と蓄積されていきます。そのため今後のAI開発においては、より一層の開発費用の低減や開発の早期化が期待されます。

    なおMatrixFlowは銀行業界においても、AIを構築できます。チュートリアルも用意しているため、気になった方はぜひご利用ください。また詳細のお問い合わせもお待ちしております。

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